出雲縁結び空港。最近こうした愛称を空港名に加えたネーミングがブームである。高知竜馬空港。コウノトリ但馬空港。徳島阿波おどり空港。そして出雲の隣にはついに米子鬼太郎空港が出現した。いや空港はもとからあるのだが。いずれも何とか誘客に結び付けようという地元自治体の必死の努力がうかがわれる。だからこんなことに目くじらを立てるのはやめよう。縁結び。いいじゃないか。近年この空港に降り立って出雲大社に直行する若い女性客が多いという。目的はもちろん良縁祈願のようだ。それにしても、と思う。このSNS全盛の時代にあってなお超アナログな「神頼み」に人気があるとは。しかしそれはどこか心にほんのりとした灯りがともるような話題ではないだろうか。この空港からは松江市に向かう人が最も多い。直行すればバスで30分だが、ローカル電車でコトコト宍道湖北岸を行くのも悪くない。最寄りの一畑電鉄雲州平田駅までタクシーで15分。そこから電車で松江しんじ湖温泉駅までは37分。空港アクセスと考えず、回り道を楽しむ感覚で乗れば松江と言う由緒のある町への正しい接近法ではないかと思えるので不思議だ。この空港にはフライトシュミレーターというアトラクションが用意されている。200円で5分間、パイロット気分が味わえるので、搭乗の待ち時間を利用してトライしてみたい。空港ターミナルビルには波打つような曲線の大屋根がかかっている。ふと出雲大社のどこかにオリジナルがあるデザインなのか、と思ったが大社の屋根とは反り方が逆であった。